研究概要 |
研究費補助金交付申請書にも記した様に、初年度(元年度)はリフレクトロン質量分析計と分子線チャンバ-の設計から始めた。以下、リフレクトロン質量分析計部と分子線チャンバ-部の2つに分けて、その設計・製作状況を述べる。1.リフレクトロンTOF部:高い質量分解能を得るためには、イオンレンズ系やリフレクタ-のエネルギ-及び空間についての収束条件を求める必要がある。本設計では、1次及び2次の空間収束条件によりこれらのジオメトリ-を最適化した。また、リフレクトロンの心臓部ともいうべき、各レンズ系へのメッシュの張り方は非常に困難であった。このため、実際の製作はJORDAN Co.LTD.(米国カリフォルニア)に発注した。2.分子線チャンバ-部:本研究で用いるサンプル源はパルス分子線源である。このため、パルス分子線源用の差動排気チャンバ-及びレ-ザ-イオン化チャンバ-を設計製作した。気相の試料のみならず固体のサンプルのvaporizationも行なうため、専用のポ-トも装着した。以上の様に、現在は分子線チャンバ-部を含めた、リフレクトロン質量分析計のすべての設計及び製作が完了し、試験運転にとりかかる段階である。また本装置を製作発注している間、真空紫外光及びレ-ザ-的光子イオン化法による高質量分子イオンの生成と検出の予備的実験を、それぞれ、国立公害研究所及び分子科学研究所で行なった。この結果、質量数がおよそ5,000を越えると通常の二次電子増倍管は、急激にその感度が低下することが解った。このため、質量数が10,000以上の超高質量イオンを検出するためには、当初の計画どうり、後段加速、或いはシンチレ-ション法が必要となる。 次年度(最終年度)では、本装置の性能をチェックすると共に、クラスタ-分子線法により超高質量質イオン(m/e【greater than or similar】10,000)を生成させ
|