1.従来より用いられている9MHzの水晶発振子の代りに、18MHzの水晶発振子が発振する発振回路を開発した。 2.抗体を水晶発振子に固定する方法として、ペプシン消化とDTT還元とにより抗体にSH基を導入して、抗体を失汚せずにフラグメント化した。また、水晶発振子上の抗体と反応した被測定物質に、さらに2次抗体を反応させると、センサの応答量が増大して感度が向上するので、2次抗体同志を数分子重合させ、2次抗体を単独で用いたときよりも感度を数倍高めることができた。 3.溶液中の分析に用いる水晶発振子は、電極が溶液中で腐食や溶解を受けないように、種々の工夫をしているが、報告者がすでに発明した無電極型水晶発振子を用いたところ、この弱点が克服でき、さらに、重みセンサ作製の手間やコストの低減を行うことができた。また、この無電極型水晶発振子の重みに対する応答性は従来型のものと同等であった。 4.従来より用いていた容量10mlのフロ-セルの代りに、容量1mlのバッチ式セルを作製し、少量試料中の抗体の測定を可能にした。 5.以上を総合して、18MHzの無電極型水晶発振子に、β_2ーマイクログロブリンに対する単クロ-ン抗体を固定した水晶重みセンサは、β_2ーマイクログロブリンに対して、試料溶液量1ml、反応時間30分で50μg〜1mg/lの濃度範囲で測定が可能であり、従来型の水晶発振子を用いる測定法に比べて、応答量は3〜4倍増大した。しかし、精度は改善することができなかった。これはバッチ法の欠点とも考えられ、現在さらにセルと発振回路の改良を進めている。
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