研究概要 |
平成2年度には,前年度に引き続き,焼結ダイヤモンド埋込型ブリジマンアンビルを用いて,超高圧高温実験を行なった。このアンビルを600トン一軸圧縮プレスに組み込んで,以下の物質について,約15GPa,1200℃までの圧力・温度範囲で実験を行なった。 KAlSi_3O_8はカリ長石として地殻に広く存在する鉱物であるが,その超高圧下での転移の様子は詳しく調べられていなかった。今回の実験で,カリ長石が圧力と共にK_2Si_4O_9(wadeite)+Al_2SiO_5(kyanite)+SiO_2に分解し,さらにKAlSi_3O_8hollanditeに再結合する相境界線が決定された。前者はP(GPa)=5.4+1.0×10^<ー3>T(℃),後者はP(GPa)=7.4+1.7×10^<ー3>T(℃)と表わされる。特にhollanditeの安定領域を確定したことは重要な成果と考えられる。 カルシウムフェライト型構造は,地球深部での3価のイオンを含むA^<2+>B^<3+>_2O_4化合物の取り得る構造として重要な意義を持っている。CaAl_2O_4は超高圧下でカルシウムフェライト構造を取るとの報告がなされていたが,その安定領域は明らかにされていなかった。今回CaAl_2O_4の相転移を15GPa,1200℃まで調べた。その結果CaAl_2O_4は一気圧相(充填トリディマイト構造)から,構造未知の3種の中間相を経て,約8GPaでカルシウムフェライト型に転移すること,その勾配が負になること等が明らかになった。
|