1撹拌装置付雰囲気制御炉の改良 試料の回収の際セラミック棒を坩堝に浸したのち引き上げるさい炉心管内部に試料を付着させることが多く、それに起因して坩堝の回収が困難になる場合が生じた。現在、試料回収用セラミック棒をガイドに沿わせて上下させるようにしてそのような不都合を生じないようにする実験をおこないつつある。 2融液の結晶作用に対する撹拌の効果に関する実験 実験には伊豆大島1778年溶岩を粗く砕いたものを用いた。今回の実験では予め1250℃(リキダス温度は約1200℃)で10時間溶融した後、10℃/hrで等速冷却をおこなった。一旦過熱した場合、玄武岩質マグマからの斜長石の結晶核生成が困難になることが知られているが、今回の実験でも斜長石の晶出開始温度は撹拌のない場合で1160℃、撹拌速度57rpmで1165℃と、晶出開始に35-40℃の過冷却が必要であった。57rpmの場合、ずれ速度は1cmにつき1.5cm/sec程度であり、通常の溶岩流の下部で生じるずれ速度に相当するが、この程度のずれ速度では顕著に結晶生成が促進されることはない。1150℃での斜長石結晶核密度の測定をおこなったところ、撹拌のない場合で4*10^4cm^<-3>であり、撹拌速度57rpmでは7*10^5であった。従って、撹拌により、結晶核密度は1桁以上増加しており、結晶核生成に撹拌がある程度の影響を持つと言えよう。
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