研究概要 |
今年度は、第一に我々の測定法の特徴であるファブリ-・ペロ-共振器を構成する試料をそのまま用いてポ-リングを行ない、有機分子(ジエチルアミノニトロスチルベン)をド-プした高分子(ポリカ-ボネ-ト)薄膜の1次の電気光学効果を測定した。その結果、同一試料χ^<(2)>(-ω;ω,0),χ^<(3)>(-ω;ω,0,0)を実・虚部共に可視から近赤外の広範囲に渡って求めることができ、χ^<(3)>の方がχ^<(2)>より波長依存性が急であるということが解った。このように同一物質のχ^<(1)>からχ^<(3)>までの波長依存性を決定したのは、世界で初めてである。有機分子の配向分極と電子分極という逆符号の2つの機構の和として説明が試みられた。 第二に、高分子薄膜のみの二次の電気光学定数の測定を行った。しかし、これらの結果は屈折率の変化だけでなく膜厚の変化も含んでいると考えられる。そこで、新しい構造のサンプルを用いて高分子の電気光学定数および電歪定数・弾性定数などを分離測定する方法を考察中である。 さらに可溶性ポリジアセチレンの一種である。poly-3BCMUをド-プしたポリメタクリル酸メチル(PMMA)薄膜の二次の電気光学効果を測定した。その結果の吸収係数の変化は、^1B_u励起子準位がStark shiftを起こしたこと、電場を印加することに伴ってかかった圧力(静電引力および電歪効果)によってpoly-3BCMUが可逆的な状態変化をしたことの二つによると考えられる。簡単のため全てstark shiftであるとしてシフト量を見積もると360kv/cmに対して△E=3.0×10^<-5>eVとなった。また、高分子電解質であるイオン性色素コンプレックス薄膜についても測定を行い、非線形感受率の虚部が2×10^<-10>esuと決定された。
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