研究課題/領域番号 |
01850003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 孝嘉 東京大学, 理学部, 助教授 (60087509)
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研究分担者 |
打木 久雄 長岡技術科学大学, 助教授 (50142237)
吉澤 雅幸 東京大学, 理学部, 助手 (60183993)
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キーワード | 電気光学効果 / 非線形光学効果 / 高分子 / ファブリ-ペロ-共振器 / マッハ・ツェンダ-型干渉計 / 電場変調発光分光 / ポッケルス効果 / カ-効果 |
研究概要 |
本研究の目的は、大きい非線形光学係数や電気光学係数を持った物質の探索のための計測を確立し、電気光学係数と分子構造・電子状態や結晶構造との関連を調べ、光変調器、方向性結合器、光スイッチなどへ応用可能な有機物質の探索を行なうことである。本研究で開発した測定法は、電気光学係数の実部と虚部とを同時に極めて高感度に測定することが可能な新しい方法である。しかし、この方法では多重干渉を用いるため、複雑な解析を必要とする、試料の平面・平行性が必要となる等の問題点がある。 今年度は、これらを解決するためのマッハ・ツェンダ-干渉計を用いた新しい測定法を開発した。この測定法による結果をファブリ-・ペロ-共振器による結果と比較すると、試料の平行性や平面性の影響が小さく、しかも2次の電気光学定数の実部と虚部をよく分離することができ、この測定法の有用性が明らかとなった。典型的な電気光学効果による信号は10^<-6>程度と非常に微小なため、ノイズの少ない光源、干渉計配置の選定を行なった。しかし、マッハ・ツェンダ-型干渉計を用いた装置では、ファブリ-・ペロ-共振器を用いた方法に比べて、光源の単色性や空間的コヒ-レンスに対する要求が厳しいため、現在のところ後者の方法に比べて測定可能な波長範囲が狭い。そこで、より広い波長領域で測定を行えるように、干渉計の振動・熱揺動等による光路長の変化を補償する圧電素子を用いたフィ-ドバック機構の開発を行なった。 また、作製した電気光学効果測定装置を利用して、異なる形状の試料の電気光学定数の測定や、電場変調吸収・反射分光、電場変調発光分光を行った。ファブリ-・ペロ-共振器ではなく、スリット型に電極を蒸着した試料を用いて電気光学効果の測定を行った。この方法では、印加した電場と偏光方向の組み合わせから電気光学効果の異方性を測定することができる。また、薄膜の試料を作成する必要がないため、単結晶の測定も可能である。実際に有機共役高分子のであるポリジアセチレン単結晶の電場変調反射分光を行いその異方性を確認した。
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