研究課題/領域番号 |
01850004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮野 健次郎 東京大学, 工学部, 教授 (90167677)
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研究分担者 |
富岡 明宏 東京大学, 工学部, 助手 (10211400)
下村 政嗣 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10136525)
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キーワード | LB膜 / プロセシング / 表面波プロ-ブ / L膜 / 単分子膜 / 多層累積膜 / 高配向膜 / 反射分光法 |
研究概要 |
本研究は、高品質LB膜をつくるために、水面上の単分子膜(L膜)に対して積極的に働きかけ(プロセシング)を行うための方策を探ることを最終的な目的として行った。特に、L膜に加えられたプロセシングの影響をその場観察するための技術を開発した。1.表面波法:解析的なプロ-ブとして確立するため、膜の不均一性を蛍光顕微鏡で定量的に評価しながら同時測定を行った。この結果、気相・液相共存領域では液相の表面波に及ぼす影響が殆ど零であることが見出された。一方、固相・気相共存領域では、固相の影響は島状構造の連結性によって支配され、この方法のみの測定では、相の一義的な同定が困難であることが示された。2.反射分光法:色素高分子を含む水溶液上に展開した単分子膜への色素高分子のイオンコンプレックスの形成過程を詳しく調べた結果、電気中性条件が吸着に支配的であり、従って高分子は単分子層的であること、そのキネテックスは拡散のみによって支配されることを明らかにした。3.非線形光学効果:LB膜の3次の非線形光学効果の厳密な解析を行い、従来無視されていた基本波の多重反射の影響が重要であり、これを取り込むことにより、実験の定量的な解釈が可能になった。さらに、2次の非線形性についても同様の厳密解の解析により、分子配向を決定した。 これと平行して、実用に耐えるような薄膜を作ることを目標とする実験を行った。1.蒸着基板:ポリジアセチレンの異方的圧縮によって生じた高配向L膜を一層だけ基板上にのせ、これの上に蒸着を行い、定量的に蒸着膜中に異方性を発現させることができた。2.新型トラフの試作:表面波プロ-ブをもつトラフのプロトタイプを試作し、L膜の配向を損なう事なく垂直浸漬法でLB膜を作製することに成功した。さらに、この方法を拡張して、数百層程度のヘテロ累積膜を容易に作ることができるような、トラフの自動化を行った。
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