研究課題/領域番号 |
01850006
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柊元 宏 東京工業大学, 工学部, 教授 (50013488)
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研究分担者 |
原 和彦 東京工業大学, 工学部, 助手 (80202266)
吉野 淳二 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90158486)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | エレクトロルミネッセンス / 硫化亜鉛 / ツリウム / 有機金属分子線法 / 有機金属気相法 / 原子層ド-ピング / フォトルミネッセンス |
研究概要 |
周期的ド-ピングの手法を用いることにより、純青色高輝度EL素子を開発することを目的として、ZnS:Tm薄膜の成長とその評価に主点を置いて研究を進めた。得られた結果は、目標の性能を達成するに到るものではなかったが、今後の研究の進展に有用な以下に要約する知見を得た。 1.原料としてジエチル亜鉛、ジエチル硫黄またはH_2S、金属Tmを用いる有機金属分子線法により、ガラスおよびGaAs基板上にZnS:Tm薄膜の成長に初めて成功した。この方法により、数%のTmド-ピングが可能であることを見いだした。 2.作製した薄膜がTm^<3+>イオンの内殻遷移による青色のフォトルミネッセンスを示すことを確認すると共に、赤色および赤外の発光帯を含めて、その遷移過程について検討した。また、ZnS:Tm粉末螢光体を用いたフォトルミネッセンスおよびエレクトロルミネッセンス測定から、Tm^<3+>イオンの励起過程はZnS母体からのエネルギー移動が支配的であり、Tm発光中心の直接励起の確率が低いことを明らかにした。 3.ZnS:TmEL素子の青色発光輝度の向上を目指し、2の結果に基づいて発光層の設計を行った。具体的には、まず、(1)効率の良い青色発光を得るために、原子層ド-ピングの手法によりTm原子が膜中で十分に分散するように制御し、次いで、(2)EL素子において効率の良い励起を実現するために、(1)の発光層を電子加速層のアンドープ層と周期的に積層する素子構造の設計を行った。 4.アンドープ層に周期的にTmの原子層ド-ピング層を挿入したZnS薄膜を作製し、この手法によりZnS:Tm薄膜の発光を制御できることを示した。その一方でTmが膜中で広がり易いことが明らかになり、急峻なド-ピング構造を作製するためには、この機構を解明することが重要と考えている。
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