研究課題/領域番号 |
01850010
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
斎藤 省吾 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (80136548)
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研究分担者 |
豊玉 英樹 スタンレー電気, 筑波研究所, 主任研究員
江良 正直 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (30191927)
筒井 哲夫 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (40037982)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 注入型電界発光 / エレクトロルミネッセンス / 蛍光色素 / キャリヤ輸送層 / キャリヤ注入 / キャリヤ再結合 / 励起子閉じ込め / イオン化ポテンシャル |
研究概要 |
蛍光性有機色素を発光層とする3種の電界発光素子構造が存在することを提示し、発光層の電子的性質に応じて、適切なキャリヤ輸送層と組み合わせ素子構造を選択すべきことを明らかにした。これは、発光効率の向上のためには、発光層中への電子と正孔のバランスのとれた注入と両者の効果的な再結合が重要であることを示したものである。さらに、キャリヤ再結合によって発生した励起子を有効に発光層中に閉じ込めることが発光効率向上に重要であることを指摘し、金属電極と発光層の間に挿入されたキャリヤ輸送層の励起子閉じ込めに関する役割を明確にした。 上記の知見を色素のイオン化ポテンシャルに基づいて定量的に議論し、発光素子設計指針を厳密化するため、固相薄膜のイオン化ポテンシャル測定装置を整備し、キャリヤ輸送色素及び発光色素のイオン化ポテンシャルデ-タを蓄積した。 発光素子の長期安定性の向上をはかるため、色素薄膜の保存安定性ならびに素子駆動後の薄膜構造を微分干渉顕微鏡により観察した。素子の性能劣化の要因は、一つは色素薄膜自体の結晶化の進行による欠陥部の増加であり、第二は電極と色素薄膜の界面における剥離の進行であることを明らかにした。色素薄膜の結晶化防止は、用いる色素の分子設計によって改善可能であるが、界面剥離を防止するための課題が残された。 以上の研究の結果、直流10V以下の駆動電圧で、RGB3原色に高輝度で発光する素子を作製できた。素子の平均的寿命は500時間程度である。一層の長寿命化をはかるため、発光効率を著しく向上させる糸口をつかむことができた。
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