半導体レ-ザの光混合による超広帯域光スイ-プジェネレ-タの試作

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01850015
• 研究種目: 試験研究
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 大津 元一 東京工業大学, 総合理工学研究科, 助教授 (70114858)
• キーワード: 非線形光学 / 半導体レ-ザ / 位相同期 / 超伝導

研究概要

数値解析によりパラメトリック波長変換を有効に実現するための有機非線形光学導波路の設計を行い、最適条件を見積った。この結果をもとに有機非線形光学物質MNAの単結晶成長炉を開発し、面積20×70mm^2の良好な単結晶を作成した。一方、波長1.56μm半導体レ-ザの第二高調波の周波数をルビジウム原子の共鳴スペクトル線中心周波数に安定化した。さらに、この光と波長0.78μm半導体レ-ザの光を同時にルビジウム原子に照射し、光・光二重共鳴スペクトルを得た。このスペクトルの中心周波数に2つのレ-ザ光周波数を同時に安定化し、周波数同時リンクを形成することができた。
周波数の微調のために2つの半導体レ-ザ間でヘテロダイン位相同期ル-プを構成し、残留位相揺らぎ0.03rad^2、残留周波数揺らぎ0.1mHzを得た。周波数掃引範囲を広げるために波長0.67μm半導体レ-ザの周波数揺らぎを抑圧し、スペクトル幅50kHz、波長掃引範囲5nm、を得た。また、この光のパワ-を増加させるために、YAGレ-ザで励起された色素溶液を用いて光増幅を試み、増幅率25dBを得た。また、このレ-ザと波長1.3μm半導体レ-ザとの周波数同期リンクを形成するための参照用スペクトルとしてリチウム原子が有効であることを指摘し、そのスペクトル特性を評価した。最後に光周波数測定用の高温酸化物超伝導薄膜に遠赤外レ-ザを照射し、非ボロメトリックな効果を得るための実験準備を行った。

研究成果

• [文献書誌] K.Kuboki,M.Ohtsu: "A Synthesized Method to Improve Coherence in Semiconductor Lasers by Electrical Feedback" IEEE Journal of Quantum Electronics. 25. 2084-2090 (1989)
• [文献書誌] 大津元一,中川賢一: "半導体レ-ザの周波数制御とその応用" 応用物理. 58. 1428-1444 (1989)
• [文献書誌] H.Furuta,M.Ohtsu: "Evaluations of frequency shift and stability in rubidium vapor stabilized semiconductor lasers" Applied Optics. 28. 3737-3743 (1989)
• [文献書誌] M.Ohtsu,M.Murata,M.Kourogi: "FM Noise Reduction and Subkilohertz Linewidth of an AlGaAs Laser by Negative Electrical Feedback" IEEE Journal of Quantum Electronics. 26. (1990)
• [文献書誌] C.H.Shin,M.Teshima,M.Ohtsu,T.Imai,J.Yoshida,K.Nishide: "FM Characteristics and Compact Modules of Coherent Semiconductor Lasers Coupled to an External Cavity" IEEE Photonics Technology Letters. 2. (1990)
• [文献書誌] C.H.Shin,M.Ohtsu: "Heterodyne Optical Phase-Locked Loop by Confocal Fabry-Perot Cavity Coupled AlGaAs Lasers" IEEE Photonics Technology Letters. 2. (1990)
• [文献書誌] 大津元一: "超高コヒ-レント光の発生 刷中" 朝倉書店, 300ペ-ジ (1990)