立方晶チッ化ホウ素単結晶を合成し、鉄合金系超精密加工用切削工具を試作評価することが本研究の目的である。立方晶チッ化ホウ素単結晶は上記の目的に適用できる唯一の材料と考えており、工具に加工可能な良質単結晶が望まれている。 研究年度内で次の点を改善し、実用化に結びつける。 (1)単結晶の成長過程を研究し、工具として望ましい形態とサイズを有する結晶の育成方法を確立する。 (2)単結晶の摩耗、熱的変化に対する実用的知見を得る。 (3)単結晶の加工方法及び表面改質を研究し、工具材料としての高度化技術を確立する。 本年度は結晶育成装置であるFB30H型超高圧装置のプレス部分、温度圧力制御システムを試作設計すると共に、新規FB30Hの設計に必要な実験(特に粉末成形圧縮性ガスケットに関するもの)を行い、十分な見通しが得られたのでFB30H型高圧容器の設計を行った。 cBN結晶育成用溶媒を探索するためMg_3BN_3、Sr_3B_2N_4、Ca_3B_2N_4、Li_3BN等を用いてCBNの合成実験を行い生成する結晶の形態や双晶の出現確率等を検討した。その結果、Mg系よりもSr、Ca系の方が結晶形態も良好で育成溶媒としては適しているとの知見が得られた。 また、育成圧力温度領域を決定するため、厳密なhBNとcBNの相境界線を決定し、これまでのデ-タを修正した。
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