研究概要 |
本年度において、立方晶チッ化ホウ素(CBN)単結晶育成用溶媒の研究を中心に行った。また、CBN超高圧合成の基礎となる、CBNの安定圧力・温度条件に実験及び熱力学計算を行い、新たな相境界線を決定した。 (1)ホウチッ化マグネシウム溶媒の挙動 従来不確実であった組成をMg_3BN_3と決定し、これが粉末X線リ-トベルト構造解析の結果とも一致することを見出した。常圧で合成されるMg_3BN_3は高圧相に転移するが、その相境界を実験的に決定した。さらにMg_3BN_3は少量の水分と共存するとき,MgO+NH_3+CBNに分解し、CBN結晶が析出することを見出した。この分解反応はMg_3BN_3構造に存在するNーBーN鎖の活性に由来し,従来より低圧の4GPaで十分進行する。この反応は工業的なCBN切削,研削材料の合成方法として有望である。同様な超高圧分解反応がアルカリ、アルカリ土類ホウチッ化物で可能と考えられるので,現在検討中である。 (2)CBN安定圧力・温度領域 従来の実験結果には相互予盾があり,新たに検討した。特に3〜6GPa領域で精密な実験を行い,新しい境界線として P__ー=3.50ー5.00T^<-3>(GPa,℃)を決定した。これによればCBNは常圧下700℃まで安定相であるとの,従来と大幅に異なる結果が得られた。この妥当性は、熟力学計算及び低圧領域のMg_3BN_3分解反応による合成領域によっても確認された。
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