研究概要 |
本年度も引きつづき高純度CBN単結晶を育成するための基礎的研究を行った。溶媒系の探索については、Ca_2B_2N_4-BN,Li_3BN_2-BN,Sr_2B_2N_4-BNおよびLiCaBN_2-BN系でのCBNの合成圧力-温度領域を各々決定した。これらの結果ではCBNの合成最低温度が1000〜1100℃付近になった。例えばLi_3BN_2-BN系では従来最低合成温度が約1500℃とされていたがそれよりも400℃低い温度でも,少量ではあるが確実にCBNが合成できることが明らかになった。以上の結果はCBN単結晶の低温度育成に必要な条件の一部分をそろえたことになる。 つづいて,1100〜1300℃領域でcBNの単結晶が成長するか否かに関して実験的に明らかにする目的で,ダイヤモンドおよびCBN単結晶を種結晶とする育成実験を行った。この実験にはLiCaBN_2を溶媒に用いた。CBNの自発核形成のみられない低圧領域ではCBNの成長はまったく見られなかった。CBNの自発核発生のある高圧領域においては,ダイヤモンド種結晶上にはCBNが成長せず,CBN種結晶上には成長が起ったと思われるがさらに検討を要する。いずれにおいても,種結晶以外の部分にはCBNが生成しているので,CBNの自発核発生を制約するような層をもうければ種結晶上に成長が行えると思われさらに実験を続行する。 従来の単結晶育成方法ではCBN結晶の形態制御が著しく因難である。そこで形態の整ったダイヤモンド結晶を種として,その上にヘテロエピタキシャルにCBN層を成長させる方法を開発した。ダイヤモンド上へのヘテロエピタキシャル成長はすでに1700℃領域では確認されているが,成長層は多くの欠陥を含んでいる。本研究では、低温領域でのヘテロエピタキシャル成長の可能性が実証された。
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