研究概要 |
近年,超精密ダイヤモンド切削やメカノケミカルポリシングなどの超精密加工技術の進展に伴い,磁気デイスク基板,レ-ザ反射鏡,シリコンウエハなどが比較的容易に製作されるようになってきているが,今後一層高い加工精度,信頼性,生産性を考慮した場合,加工中にその表面性状すなわちnmオ-ダの微小粗さはもちろん品質に大きな影響を与えるサブミクロン以下の微細な傷をも測定評価できる新しいインプロセス測定技術が必要である。 そこで,本研究では光の回折現象を利用したFraunhofer回折法を提案し,超精密ダイヤモンド切削面粗さのインプロセス測定装置を試作し,3000rev/minの高速回転中においても公称値12nmRmaxの5インチ磁気デイスク基板の全面を0.5nmの分解能で10%以下の誤差で測定できることを実験的に確認した. 次に,サブミクロン以下の微細傷に対してFraunhofer回折法を適用し,理論解析および実験的検証から次のような研究成果を得ることができた. 1)はraunhfer回折光強度Iは微細傷の深さh,傷の傾斜角α,βそして照射レ-ザのスポット径Lによって決定されることが理論解析から明らかになった.数値解析の結果,傷の深さh=0.2μmを境にして,回折光パタ-ンは大きく変わり,hが小さくなると0次光強度は1次回折光より大きくなり逆にhが大きなると0次回折強度は小さくなる. 2)傷方向に影響を受けないようレ-ザの直線偏光を円偏光に変え,しかもFraunhofer回折光学系を構成する新しい微細傷測定装置を試作した.本測定装置によって深さ0.04μm,幅2.6μmの微細傷の鮮明な回折パタ-ンを検出することができた. 3)回折パタ-ンの各次回折光強度及び暗線の幅は傷の深さおよび幅と密接な関係にあり,また照射スポット径によって変化することが実証され,理論解析結果とよく一致することが分かった.このことからスポット径が既知であれば,回折パタ-ンから微細傷の定量的評価が可能になるもの考えられる.
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