研究概要 |
超精密加工面性状のインプロセス測定が可能なFraunhofer回折法を提案し,nmオ-ダの超精密加工面粗さインプロセス測定装置の試作開発を行い,さらにこの回折法に基づく超精密加工面に存在するサブミクロンオ-ダの微細傷の測定評価法を提案し,次のような研究成果が得られた. (1)本測定法は,周期的な面に対して,その最大高さ粗さRmaxをFraunhofer回折像の0次から3次までの回折光強度比と光波長から,またランダムな面に対してはその自乗平均粗さRrmsをスポット強度比と光波長から定量的に求められることを理論的および実験的に明らかにした. (2)8から200nmの粗さを持つダイヤモンド切削面試料に対する測定実験から,本測定法は数nmから200nmまでの粗さを,またラッピングされたシリコンウエハの測定実験から1nmから10数nmRrmsの微小な粗さを10%以内の誤差で高精度に測定できることを確認した. (3)Fraunhofer回折粗さセンサ,高速回転スピンドル装置,回転制御回路,画像処理装置,パソコンなどからなるインプロセス測定装置を試作開発し,5インチ磁気デイスク基板を3000rev/minの高速回転中に5%程度の誤差で測定測定することができた.さらにデイスク全面の粗さの程度を0.5nm毎にマップで示し評価することができた. (4)微細傷モデルにおけるFraunhofer回折像の理論解析から,傷の深さおよび傾斜角と回折光強度分布の関係を導出し,数値解析によって傷形状および照射スポット径による回折パタ-ンの特徴変化を明らかにした. (5)シリコンウエハに存在する深さ0.04μm,幅2.6μmの微細傷の回折光・強度分布の測定実験から,スポット径による回折パタ-ンの変化について検証し,理論解析結果と一致することを示した.また,スポット径が既知あれば,回折パタ-ンから微理傷の定量的評価が可能であることを明らかにした.
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