研究分担者 |
佐藤 忠一 日本精工株式会社, 生産技術研究所, 研究員(所長)
小泉 忠由 東京工業大学, 工学部, 助手 (90016527)
橋詰 等 東京工業大学, 工学部, 助手 (50218400)
新野 秀憲 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40196639)
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研究概要 |
次世代生産技術を確立する上で必要不可欠な工作機械の熱変形抑制構造について構造設計面から検討し,工作機械構造の中で重要な構成要素である主軸系の熱特性解析のための新たな方法論を提示した.更に,新たな構造概念による超精密加工用熱変形抑制構造工作機械を構築することができた.本研究により以下のような結論が得られた. (1)転がり軸受を用いた主軸系を対象に,運転中の主軸系においては熱的・力学的境界条件が相互に影響を与えながら変動する,いわゆる特性変化の因果関係の連鎖から成る熱的閉ル-プシステムが存在することを指摘すると共に,その妥当性を確認した. (2)熱的閉ル-プ概念を主軸系に適用することにより,従来その有効性が経験的に認識されているに過ぎなかった高速主軸アダプタの熱変形緩和効果を統一的に考察した.更に,主軸系全体の熱特性に大きな影響を及ぼすと考えられる軸受ハウジングとクイル構造の熱的特性について,その主軸系の熱変形に及ぼす効果を,熱的閉ル-プ概念を用いて主軸受周辺構造体の放熱効果の観点から説明できることを明らかにした. (3)熱的閉ル-プ概念と有限要素モデルによる熱特性解明のための動的シミュレ-ション方法を提案すると共に,それにより軸受ハウジング構造及びクイル構造が主軸系全体の構的特性に及ぼす影響を解明した.更に,主軸頭内に設けられた補強リブや隔壁は,従来力学的観点からの検討が主体であったのに対し,ここでは熱慣性効果の観点から熱変形に大きな影響を及ぼすことを明らかにした. (4)極限加工を実現する上で必要不可欠であると考えられる熱変形抑制構造工作機械について詳細な検討を行ない,新たな構造概念に基づく超精密加工用小型切削加工機を開発した.そして,その評価を行なった結果,熱変形抑制構造を合理的に実現していることを明らかにした.
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