研究概要 |
難削および複合材料の超精密微小切削機構の解明を目的として,平成2年度に行った研究をまとめると以下のようになる. 1.銅単結晶材料の超微小2次元切削過程の実験的解析 超精密微小切削プロセスにおける個々の結晶粒の影響を分析するため,銅単結晶材料のSEM内極微小2次元切削実験を行った.その結果,切込みが約1μm以上では,切削方向に対する結晶方位が切りくず生成過程,切削力,仕上げ面性状に対して大きく影響することが明かとなった.これに対して,切込みが1μm以下になると結晶方位の影響が非常に小さくなるとともに,良好な仕上げ面性状が得られる.この要因としては,切込みが1μm以下になると,切込みに対して工具の刃先丸みが相対的に大きくなること,前加工により生じた加工変質層を切削する割合が増加すること,があげられる. 2.有限要素法による銅単結晶材料の2次元切削プロセスの解析 切削プロセスに対する結晶方位の影響を理論的に解析するため,剛塑性有限要素法を用いた単結晶材料の2次元切削プロセスの解析プログラムを開発した.このプログラムは,切削開始時より定常状態にいたる2次元切削プロセスを解析するものである.この解析プログラムを用いて,銅単結晶材料の2次元切削プロセスの解析を行った.解析の結果得られた切りくず形態ならびに切削力は,1.に示す実験結果(切込みが5μmの場合)とよく一致した.この結果より,本解析手法は,単結晶材料の切削プロセスのシミュレ-ションに極めて有効と考えられる. 3.超精密超微小切削プロセスに関する検討 上記の実験的および理論的解析,ならびに平成元年度に行った炭素繊維強化金属の実験的解析の結果に基づき,切込みが1μm以下の超精密超微小切削プロセスについて考察した.
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