研究概要 |
管内無重力走行システムを試作し,つぎの成果を得た.システムは,ドライバ-(加速用リニアモ-タ-),ブレ-キ(制動用リニアモ-タ-),走行管,カプセル(アルミニウム製落下体),速度センサ-,真空チャンバから構成されている。 カプセル内に無重力場を実現するには,カプセルの加速度を,走行中常に重力加速度に等しくなければならない.しかし走行中のカプセルは流体力学的抗力を受ける.本研究では走行管内を減圧して抗力を低減したのち,ドライバ-を用いてカプセルを加速し,無重力条件を実現した.成果を要約する. (1)リニアモ-タ-を用いた無重力落下塔の設計では,走行管内の圧力を1トル以下にしてカプセルに働く抗力を小さくする必要がある. (2)無重力条件は,ドライバ-の界磁周波数の制御によって容易に実現できる.周波数の上限は,圧力が1トル以下では百ヘルツ程度になる. (3)大型の実機の設計に対しも,本研究の成果は有用である.例えば落差500メ-トルの落下塔の場合には,極ピッチ1.5メ-トルのリニア誘導モ-タ-でカプセルに働く推力を制御することにより,百ヘルツ以下で無重力条件を実現できる. (4)リニアモ-タ-は,カプセルの制動に対しても有効である.ブレ-キの界磁電流と周波数を制御することにより,カプセルを任意の速度にまで減速できる. 真空・リニアモ-タ-併用方式は,21世紀の無重力実験施設に十分採用可能である.今後の課題は,円筒型リニアモ-タ-の高効率化と軽量化であろう.
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