本研究は、気体中に微量のヨウ素ガスをトレ-サとして混入し、これにアルゴンレ-ザビ-ムを照射して得られるヨウ素分子の蛍光を測定して、遷音速流れ場の3次元的構造を明らかにすることを目的とする。当初(計画調書提出時)はレ-ザビ-ムとしてエキシマレ-ザを使用する予定であったが、交付内定配分予定時の大幅な予算減額により止むなくアルゴンレ-ザを使用した。レ-ザの発振周波数が任意に変更できないアルゴンレ-ザで三次元流速と温度を同時計測するのは極めて困難であることが予想されたので研究着手の是非に迷ったが、従来、アルゴンレ-ザによるLIF法がほとんど低密度の噴流や火炎の計測に限定されていることに鑑み、比較的密度の高い遷音速内部流れの計測を可能にすることは有意義であると考え、当初の予定を若干変更して研究に踏み切った。 本年度は、吸込式間欠式風洞に90度転向の曲がりノズルを設置して、二次流れの撮影を受けた曲がりノズル内の遷音速流れの3次元的構造がLIF法により測定可能かどうかに焦点を絞って実験を行った。すなわち単色・縦単モ-ドで514.5nmの波長のレ-ザ光のみを取り出して2つの円筒レンズを介してシ-ト状の光を作り、曲がりノズルの曲率半径を含む面と平行に流路内を照射して、流れの中に含まれるヨウ素分子の蛍光を誘起させ、観測用光学ガラスからの光のうちアルゴンイオンの514.5nmの光をシャ-プカットフィルタ-で遮断し、弱い蛍光をイメ-ジインテンシファイヤで6万倍に増幅し、25万画素のCCDカメラを介してマイクロコンピュ-タに画像を取り込む技術の開発を行った。この方法で、シ-ト状のレ-ザ光を曲がりノズルのスパン方向に移動して画像を取り込み、いまだ不鮮明ではあるが、世界で初めて三次元遷音速内部流れにおける衝撃波の可視化に成功した。
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