本研究は、気体中に微量のヨウ素ガスをトレ-サとして混入し、これにアルゴンイオンレ-ザビ-ムを照射して得られるヨウ素分子の蛍光を測定して、遷音速流れ場の3次元的構造を明らかにすることを目的とする。平成元年度では、試験的に製作したノズルについてレ-ザ蛍光法を適用し、予備的実験を行ったが、本年度は以下の研究を行った。 1.遷音速翼列間の流れ場を模擬できる翼型を基礎としたノズルを製作した。また、アルゴンレ-ザビ-ムの伝送状態を詳細に調査、把握してLIF計測に最適なレンズ・ミラ-系を設計、製作するとともに、コンピュ-タ制御のノズル内レ-ザビ-ムトラバ-ス装置を製作した。 2.上記のノズルについて、壁面静圧、ピト-圧の測定を行い、ノズル内流れ場の圧力分布を得た。 3.アルゴンレ-ザを広帯域発進モ-ドとし、ノズル内の各断面をトラバ-スして蛍光強度の3次元分布を得た。 4.広帯域モ-ドのレ-ザから得られる蛍光強度より、温度を計算するソフトウェアを開発した。このソフトウェアを用い、3.で得た蛍光強度よりノズル内の温度の3次元分布を得ることに成功した。なお、このソフトウェアは計測デ-タに基づくコンピュ-タトモグラフィ処理も可能である。 5.得られた温度分布を解析したところ、ノズル内における音速線の位置、スロ-ト曲がり部におけるはく離の発生をはじめ、スロ-ト近傍における二次流れの発生状態が明かになり、本研究で開発した計測方法が遷音速流れ場の解明に極めて有効であることが示された。
|