本研究は、気体中に微量のヨウ素ガスをトレ-サとして混入し、これにアルゴイオンレ-ザビ-ムを照射して得られるヨウ素分子の蛍光を測定して、遷音速流れ場の三次元的構造を明らかにすることを目的とした。本研究で得られた成果を以下に述べる。 1.遷音速翼列間の流れ場を模擬できる翼型を基礎としたノズルを製作した。また、アルゴンレ-ザビ-ムの伝送状態を詳細に調査、把握してLIF計測に最適なレンズ・ミラ-系を設計、製作するとともに、コンピュ-タ制御のノズル内レ-ザビ-ムトラバ-ス装置を製作した。 2.アルゴンレ-ザを広帯域発振モ-ドとし、得られた蛍光強度より温度分布を解析した。この方法で得た温度を、ノズル壁面静圧とよどみ点圧力から計算した温度と比較した結果、本研究で開発したLIF法により遷音速流れ場の温度が±3%以内の高精度で測定できることが分かった。この測定結果より、ノズル内における音速線の位置、スロ-ト曲がり部におけるはく離の発生をはじめ、スロ-ト近傍における二次流れの発生状態が明らかになり、本研究で開発した計測方法が遷音速流れ場の解明に極めて有効であることが示された。 3.アルゴンレ-ザの共振器内部に角度可変のエタロン板を挿入し、レ-ザの発振波長を狭帯域化した。これによりヨウ素の励起波長を走査し、遷音速ノズル内の各点における蛍光のスペクトルプロファイルを得た。スペクトルのドップラ-・シフト量よりノズル内の速度分布を計算したが、このようにして得られた速度は静圧測定から計算した速度と良く一致し、本方法により遷音速流の速度場が測定できることが示された。
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