研究概要 |
昨年度末に製作した極細管熱交換器の30倍の拡大モデルとシリコンオイルを用いて引き続き伝熱実験を行い,極細管まわりの局所熱伝達係数分布を詳細に測定した.編み込み細線がある場合とない場合の熱伝達係数分布を比較した結果,編み込み細線の存在により全域で伝熱が促進されるが,特に前方よどみ点から120付近の編み込み細線と極細管が接する位置周辺で著しいことが明らかとなった. 本年度の研究の主目的は連成乱れ促進体の機能を解明することにあってので,昨年度から設備備品として拡充を進めてきた光ファイバ-・レ-ザ-・ドップラ-流速計(LDV)により速度場の測定を行った.極細管と編み込み細線で形成される間隙にレ-ザ-ビ-ムを導入するため,伝熱実験装置と同寸法でパイレックスガラス製のテスト部を製作し,これと屈析率が等しいヒマシ油(温度37℃)を作動流体とした.局所熱伝達係数を測定した点(前方よどみ点から30°間隔で奥行方向には3断面)に対応する極細管表面近傍で,周方向および垂直方向の平均速度と乱れ強度に関する測定を行った.この結果,編み込み細線間の流れの大要を把握するとともに,強い剪断層が形成される編み込み細線まわりでの乱れが極めて大きいことが確認でき,特に極細管表面に垂直方向の乱れ強度と熱伝達とは明確な対応関係を示すことが明らかになった.ただし,上流側と下流側の乱れ促進体の連成機構については,流れ場のより詳細な情報が必要で,次年度の課題として繰り延べることになった. なお,本研究で提案した微細エレメントを放電用電極として応用することにより,高性能オゾナイザ-開発の道が開けると考え,関連分野の調査に着手した.
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