研究概要 |
本研究の究極のねらいは,コンピュ-タを内蔵したロボットの超小型化である。このため,IC製造プロセス,近年進歩の著しいロボットの機構,制御およびコンピュ-タのハ-ドウェア,ソフトウェアの研究の成果を用いて,頭脳としてのコンピュ-タと,歯車や軸に代表される機構部分をシリコン・ウエハ-上に一体構成し、小さな「人工の蟻」「人工の蝿」など、自律的なマイクロロボットを製作する。 昨年度は,微小加工(マイクロファブリケ-ション)のできる必要最低限の装置の利用法のノウハウを蓄積し,歯車,直動スライダ,各種形状の弾性構造物(片持梁のようなもの),ピン支持されたリンク機構などを使えるのに成功した。そこで,今年度は,アクチュエ-ションの研究に精力をそそいだ。まず,単純弾性梁を静電力によって駆動することに成功した。静電力は,幾何学的に相似であれば,電極の面積などとは関係なく同じ大きさのものが得られる。したがって,マイクロロボットのアクチュエ-ションには静電アクチュエ-タが有利である。又,弾性力は長さの2乗に比例するので,小さくなるほど弱くなり,外力に対する歪が大きいことになる。そこで,静電力,弾性力を利用したアクチェエ-タの研究を進めているのである。ロボットのアクチュエ-ションにおいては変位にかかわらず一定の駆動力が出ることが位置制御などの面からも望ましいので,対向平板に仂らく駆動ではなく,平行平邦の間に仂らく平行力(重なりを増そうとする方向に仂らく)を用いることとした。 平行板の個数をふやせば駆動力も大きくなるわけで,本研究ではくし型の電極をかみ合わせたような形に配置したものを製作した。駆動力も計算値に近いものが得られ,共振特性なども理論と実験のよい一致を見た。
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