研究概要 |
本研究の目的とするところは,コンピュ-タを知能として内蔵したロボットの超小型化である。 このために,IC製造プロセスを利用して,1mm以下(数百ミクロン)の寸法の機構部品をシリコンウエハの上に製作し,この部品の上に作り込んだIC回路をコントロ-ラとしてロボットシステムとして作り上げるのである。 本研究がスタ-トしてから,既に,直径0.2ミリの歯車や,長さ0.1ミリのリンク機構などが,シリコンウエハに固定されたピンの回りに自由に回転できるように作り上げられ,機械システムの作成の可能性が確認された。 更に,静電力を利用したマイクロアクチュエ-タの作成にも成功している。単純な片持梁の形式のアクチュエ-タは勿論のこと,静電力を有効に利用するくし(櫛)型の静電アクチュエ-タは,種々の形のものが開発され,静電力と弾性構造によって,1ミリ以下の寸法のアクチュエ-ションシステムの可能性が確かめられている。 又,本研究の中心コンセプとして,昆虫規範型マイクロロボティクスを標傍している。昆虫は微小なサイズとしての有利な構造やアクチュエ-ションシステムを保有している。例えば,構造としては,外骨格であるということである。箱構造の中に筋肉が設定されており,筋肉の収縮が箱構造(外骨格)の弾性変形をひき越し,この変形によって昆虫の翼の羽ばたきが発生させられている。このようなシステムは,マイクロロボットの設計規範としては最良のもののひとつと考えられ,最終年は,このコンセプトの具現化に努力した。
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