研究概要 |
水素プラズマケミカルパッタリング法による超微粒子シリコン水素合金結晶の作製方法を確立した。本研究において得られた成果は次のとうりである。1.基板の種類により微粒子シリコンの成長状態が異なる。2.シリコン基板上では,超微粒子シリコン薄膜が形成されるが,石英基板上では,微粒子から非晶質相への相転移が発生するため超微粒子相が得られない。3.シリコン基板上では,粒径5nm以下の超微粒子状態が再現性良く得られる。4.マラン分光による結晶評では非晶質と判断できるが,X線回折では結晶性を有すると判断できる歪みシリコン結晶状態が形成されている。5.基板温度の上昇にともなって,結晶粒径が増大し,(110)に強く配して行く。6.基板温度400度において,非晶質相を殆含まない多結晶シリコン薄膜の作製が可能である。7.この手法により微粒子シリコン薄膜へのボロンおよびリン元素の不純ド-ピングが可能である。以上の結果より昨年度までに得られた量子効果は,微粒子化に伴うシリコン結晶の歪みによるものであることが示された。更に,水素プラズマケミカルスパッタリング法をIIーVI族化合物半導膜の作製に応用した。その結果得られた成果を次に示す。1基板温度室温において良質のZnS,CdS,CdTe薄膜の作製が可能である。2.広い作製条件下において,化学量論比が1:1に保たれる。3.ZnS薄膜へのMn,Alド-ピングが可能である。3.同手法によるGaAs上へのZnSのエピタキシャル成長が可能である。4Mnをド-プしたZnS薄膜を用いてエレクトロルミネッセンス素子を試作し,その発光動作を確認した。以上の結果より,水素プラズマケミカルスパッタリング法が,超微粒子シリコン水素合金結晶等,半導体薄膜の形成のための実用化プロセスとして有効であることを示した。
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