研究概要 |
本年度は、3か年計画の第1年度として、まず、交付申請書に記載したとおり、スパッタ用水冷高周波電源を購入し、従来の小型直流電源を更新した。しかし、研究目的の高性能アモルファス薄帯を得るために、同時に実施した真空容器および電極等の改修において、真空漏れおよび高周波絶縁の不良等の問題が次々生じ、それらの対策に予想以上の時間と労力を費やし、当初予定していた実施計画よりやや遅れている。 このため、未だ目標としている優れた特性をもつ薄帯を本研究の方法では得られていないが、放電電流とスパッタ速度、放電を安定させるためのガス雰囲気や印加磁界条件等の基本的な問題の検討はすでに予定どおり進め、現在さらに電極の構造・形状寸法の改善および冷却機構・方法の検討を始めている。したがって、計画2年度では、期待している特性に近いものが得られるものと考えている。 本研究で行う方法でのアモルファス薄帯作製は、上に述べたようにやや遅れているが、一方で、研究代表者八木は、板厚10μm以下のアモルファス薄帯の高周波磁気特性に関する検討を行い、従来、内外ともに、全く報告がなく不明であった板厚3〜5μmのアモルファス超薄帯の磁心損失および透磁率の周波数依存性および板厚依存性を明らかにし、さらにこれら超薄帯の磁区観察にも初めて成功し、本研究目的と直接関係のあるアモルファス超薄帯の超低損失化に手掛かりを得るなどの大きな成果が得られた。 これらの成果は、Soft Magnetic Material9(El Escorial(Madrid),Sept.'89)、日本応用磁気学会、日本学術振興会研究会で報告し、さらにINTERMAG'90)(Brighton,Apr.'90)および3M Conf.(San Diego,Oct.'90)で発表する予定である。
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