本年度は、3カ年計画の第2年度として、交付申請書に記載した計画どおり、研究分担者島田の考案によるU字形タ-ゲットを持つマグネトロンスパッタ装置に、従来の小型直流電源にかえて高周波電源を用いたスパッタ法によるアモルファス薄帯の作製を試みた。しかし、この過程で、電極等の改修を行ったが、高周波絶縁の不良に伴う問題等が次々生じ、それらの対策に予想以上の時間と労力を費やし、当初予定していた研究実施計画よりもかなり遅れている。 このため、最終目標としている優れた特性をもつ薄帯はまだ得られていないが、基本的な問題の検討はほぼ完了し、種々の作製条件でアモルファス薄帯の作製を進めており、現在さらに、超低損失化を図るためにタ-ゲットの材料組成を高抵抗率に変えること等の検討も始めている。したがって、最終年度の計画3年度では、期待している特性に近いものが得られるものと考えている。 本研究で行う方法でのアモルファス薄帯作製は、上に述べたように、当初予定よりも遅れているが、一方で、研究代表者八木は、板厚10μm以下のアモルファス薄帯の高周波磁気特性に関する検討を行った。その結果、従来、内外ともに報告がなく不明であった板厚3〜5μmのアモルファス超薄帯の磁心損失および透磁率の周波数依存性および板厚依存性を明らかにし、さらにこれら超薄帯の磁区観察にも初めて成功するなど、本研究目的と直接関係のあるアモルファス超薄帯の超低損失化に関する知見を得るなどの成果が得られた。
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