研究課題/領域番号 |
01850070
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
笹瀬 巌 慶応義塾大学, 理工学部・電気工学科, 専任講師 (00187139)
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研究分担者 |
遠藤 哲郎 防衛大学校, 電気工学教室, 助教授
斎藤 利通 法政大学, 工学部・電気工学科, 助教授 (30178496)
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キーワード | 拡散スペクトル通信 / 凝似乱数 / 相関特性 / カオス / 区分線形系 / 1次元Map |
研究概要 |
本年度は、主に拡散符号発生器および逆拡散系の基礎的事項について考察した。 1.拡散符号発生系としては、特にCut Mapを対象とした。同Mapは1つのパラメ-タを含む区間力学系であり、同系の生成する符号の極限的性質については数学的に充分解明されている。しかしながら、これを実際の通信系に適用する場合は、同系から計算機によって生成させた有限系列の諸性質が問題となり、これについては殆ど理論的考察がなされていない。これに対して我々は、広い範囲のパラメ-タにたいして計算機実験を行い、まず、良好な自己相関特性をもつ系列が生成できることを確認した。次に逆拡散等を念頭においてパラメ-タの異なる2つの系列の相互相関特性を計算し、多くのパラメ-タの組み合わせに対して良好な特性が得られることを明らかにした。さらに、Cut Mapを多重合成した系から生成される系列からは、より良好な相関特性が得られることを見いだした。多重化Cut Mapは拡散スペクトル通信に適切な符号発生器となりうると思われる。 2.逆拡散系については、多重化および高速化を念頭におき、多重化された拡散符号を時間遅れを持たせて足し合わせた符号で同期をとる逆拡散系を考案した。これに対して“1"で得られた良好な系列を用いた基礎的実験を行ったところ、広い範囲のパラメ-タに対して同期系のThresholdが設定可能であることが明らかになった。更に、これらの結果をふまえて基標的な通信系全体のシミュレ-ションをおこない良好な結果を得た。 3.今後の展開に対しては、多重化度を増加させた場合の相関特性の考察とより具体的な同期系のシミュレ-ションが特に重要であると考えている。
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