論理型言語など記号処理用言語自体に内在する並列性に着目し、これに適合した並列計算機ア-キテクチャを構成することによって、人工知能処理などの飛躍的な高速化を実現しようとする試みが各所で行われている。 本研究では、記号処理向きの高並列計算機の開発研究を行っており、並列論理型言語の高速実行を目指した並列計算機KPRを開発した。KPRは記号処理向き高並列計算機として実用上充分な速度が得られることを目標としており、要素プロセッサ512台からなるマルチプロセッサシステムを最大構成規模として設計されている。本研究では、5台の処理ユニットからなるプロトタイプシステムを試作した。 本研究成果は以下の通りである。 1.記号処理用並列計算機システムにおけるソフトウェア/ハ-ドウェア・トレ-ドオフの調査:商用化されている記号処理用並列計算機システムのア-キテクチャ上の特色を問題適応化能力の点から評価し、記号処理における汎用列処理機能を抽出した。 2.記号処理一般に対する問題適応能力を備えた記号処理用言語とその処理機能の設計:記号処理用の各種言語のパラダイムを融合し、特にその並列処理記述能力と問題適応能力に配慮した記号処理用言語を設計した。 3.記号処理用高並列計算機の単位処理機能を実現するハ-ドウェア機構のプロトタイプシステムの開発:高並列計算機システムの全体のトレ-ドオフに注意して、記号処理用並列言語処理に向いた並列計算機の単位処理機能、すなわち要素プロセッサア-キテクチャを決定し、そのハ-ドウェア機構をプロトタイプシステムとして試作した。
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