高出力新型分布反射型(DR)レ-ザに関する研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01850080
• 研究種目: 試験研究
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 荒井 滋久 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30151137)
• 研究分担者: 宮本 恭幸 東京工業大学, 工学部, 助手
• キーワード: 動的単一モ-ドレ-ザ / 分布反射型レ-ザ / DRレ-ザ / 片端面光出力 / 高効率 / SCH構造 / BIG構造

研究概要

本研究は、新型分布反射型(DR)動的単一モ-ドレ-ザの動作特性を理論的及び実験的に明らかにすると共に、従来のDBRレ-ザやDFBレ-ザを凌賀する高出力・高効率動作及び優れた単一モ-ド動作性能を実証することを目的としている。このため、平成元年度はBIG導波路集積構造を有するDRレ-ザを試作すると共に、その高効率動作を目的とした共振器構造の理論的解明を行い、以下の知見を得た。
DRレ-ザの単一モ-ド動作のための活性領域と受動領域の光導波路の等価屈折率差から定まる各領域間の伝搬定数差の許容範囲は、受動領域の回折格子における結合係数に依存することを理論的に明らかにした。この結果、BIG導波路集積構造においては、活性層を薄膜化(0.05ミクロン以下)することによって単一モ-ド動作の為の作製許容度が高められることが明らかとなった。さらに、光閉じ込めとキャリア閉じ込めを別々に行えるSCH構造をBIG導波路集積構造に取り入れることにより、活性層を薄膜化しても発振しきい値電流密度を高める事なく、微分量子効率を従来の約1.5倍(DRレ-ザとしての片端面光出力の微分量子効率は70%)まで高められることが理論的に明らかとなった。
選択エッチング法を用いて活性領域の回折格子深さを20〜30nm、受動領域のそれを100nmとした非対称回折格子を作製し、OMVPE法により回折格子形状を劣化させること無く埋込み成長を行った結果、しきい値20〜30mA、副モ-ド抑圧比約39dB、また前方端面からの光出力と後方端面からの光出力の比が51という良好なDRレ-ザを実現した。

研究成果

• [文献書誌] K.Komori: "Single Mode Properties of Distributed Reflector Lasers" IEEE Journal of Quantum Electronics. 25. 1235-1244 (1989)
• [文献書誌] M.Aoki: "1.5μm GaInAsP/InP Distributed Reflector(DR)Laser with High-Low Reflection Grating Structure" Electronics Letters. 25. 1650-1651 (1989)
• [文献書誌] J.I.Shim: "A Newλ/4 Phase Shifted Method by the Conversion of Refractive Index Difference and Application for 1.5μm GaInAsP/InP DFB Laser" Electronics Letters. 25. 1654-1655 (1989)
• [文献書誌] M.Aoki: "Distributed Reflector(DR)Laser with High Front to Rear Output Power Ratio Using Asymmetric Grating" 7th International Conference on Integrated and Optical Fiber Communication,Kobe Japan. 21D3-4. (1989)
• [文献書誌] M.Aoki: "Lasing Characteristics of 1.5μm GaInAsP/InP Bundle-Integrated-Guide Distributed Reflector(BIG-DR)Laser" 15th European Conference on Optical Communication,Gothenburg,Sweden. TUA7-3. (1989)
• [文献書誌] 沈鐘寅: "SCH構造DR型動的単一モ-ドレ-ザ" 平成元年度秋季応用物理学会学術講演会. 30P-ZG-7. (1989)