研究概要 |
本年度の研究計画は,交付申請書に記載さたとおり1.細菌分類装置のソフトウェアの設計並びに製作,2.細菌の識別・分類アルゴリズムの開発であった。以下では,これらのサブテ-マの進捗状況について報告する。 1.については,細菌を(1)円型度,(2)面積比,(3)アスペクト比(4)凸係数,(5)長さ(桿菌の場合),(6)直径(球菌の場合)により,桿菌,単球菌,連鎖状球菌,葡萄状球菌の4種類に分類するソフトウェアを完成させた. 2.については,[1]細菌の円形性を表す特徴量として,(1)細菌の面積と周囲長より定義される円形度,(2)細菌の面積と細菌の外接長方形の長径を直径とする円の面積の比,(3)細菌に外接する長方形の長径の長さと短径の長さの比で定義されるアスペクト比,[2]細菌の輪郭線の変化の度合いを表す特徴量として凸係数[3]桿菌と球菌を細分するための特徴量として(1)桿菌の長さ,(2)球菌の直径により桿菌,単球菌,連鎖状球菌,葡萄状球菌の4種類に分類するアルゴリズムを完成させた. 3.その地得られた結果として,<(1)液体培地>___ー:固形培地で増殖した菌を用いてそれぞれ検討した。液体培地で増殖した菌は、凝集も少なくフロ-サイトメトリ-に適したが、固形培地で増殖した菌を溶液中に浮遊させても凝集塊が多く、判定困難な場合が多い。この点生体由来サンプル(血液、尿、滲出液)は適しているものと考えられる。<(2)サンプルの消毒法を検討した>___ー:サンプル中に高濃度のタンパク質が含まれている場合、ホルマリン処理をすると変性タンパク質が析出し、フロ-サイトメトリ-用のサンプルとして適さないことが明らかになった。血液サンプルなどを減菌する際にホルマリン、アルコ-ルなどでの前処理はむずかしい。減菌前処理の方法を検討する必要がある。 総合的には細菌の撮像からの分類までを半自動で行えるようになッた.すなわち,細菌の画像の取り込み,デ-タの蓄積,雑音の除去,画像の強調,画像の2値化,特徴抽出,細線化,分類のソフトウェアが出来上がり半自動分類ができるようになつた.その詳細は裏面の文献にまとめている。
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