研究概要 |
平成3年度の研究課題 1.細菌自動分類装置のハ-ドウェアシステム、並びにソフトウェアシステムの評価と改良.(分担:谷口慶治) 2.細菌の自動識別、並びに分類アルゴリズムの評価と改良、並びに本システムの臨床への応用実験.(分担:横地高志) について、次のような研究結果が得られた. 課題1の結果 (1)像の鮮明さは落ちるが,光源としてパルス駆動のキセノンランプでも実用になることが明かになった. (2)撮像された画像から細菌数を推定できるソフトウエアを完成させた. (3)赤血球などの細菌以外のものが混入している場合でも,細菌だけ抽出して処理するソフトウエアを完成させた. 課題2の結果 (1)細菌浮遊液に血清蛋白など各種蛋白質やその他の生体成分を加えて,細菌の自動識別を試みたところ,生理食塩水の場合と同じように細菌の同定(桿菌,球菌の識別)が可能であった.このこから,このシステムが臨床検査に十分適用できることが示された. (2)細菌の長径,短径など細菌のサイズ及び単位容積当たりの細菌数が概算できるようになった. (3)細菌浮遊液に赤血球,白血球,血小板などの血球成分を混在させても,自動識別による細菌の同定に影響を及ぼさなかった.このことは,臨床検体中の血球成分を前処理することなく直接このシステムで計測できることが示された. (4)取扱が危険な病原微生物を含む臨床検査の滅菌方法として,10%ホルマリンを添加することで完全に無菌化することが可能であり,またシステム装置に障害を与えることなく,細菌の同定にもなんらの影響を及ぼさないことが明らかになった.この10%ホルマリンの添加法は,臨床検体の取扱を安全なものにする一方,刺激臭があることが弱点である.このため,システム装置の消毒には70%アルコ-ルの使用が適当であると考えられた.
|