物体を振動させ、気体の粘性を利用してその圧力を測定する真空計は被測定系に影響を与えないという点で優れており、これまでに様々なタイプの真空計が開発されている。本研究においては、強度変調したレ-ザ光を薄板に当てて、その振動によって圧力を計測するレ-ザ真空計を提案し、実用化のための基礎的な実験を行っている。昨年度までの研究によって、中真空領域において圧力に応じて共振周波数が変化するという新しい知見が得られ、この現象が粘性によるものではなく、気体の熱伝導に起因するものであることが明らかにされた。今年度はこれを裏付ける実験として、ガス種依存性、レ-ザ出力依存性およびレ-ザ照射位置依存性に関する実験を行い、検証を行った。これらの結果については論文にて公表している。また、国有特許出願を行った。以上は材料としてはガラスの薄板を用いていたが、共振同波数が大きく変化する材料について各種の実験を行い、ポリエチレンが優れていることが明らかになり、これに関しても論文にて公表している。また、支持形態としては片持ち梁構造よりも周辺固定円板の方が優れているという実験結果が得られた。熱伝導型のサトサ-マルレ-ザ真空計として実用的なものとするために寿命特性などの各種の実験を行った。現在、公表の準備中である。また、粘性型の真空計として、電子線リソグラフィによって製作した超小型振動子についても実験を行い、粘性によって圧力に応じて共振の鋭さQの値が変化することが明らかになり、これに関しても論文公表を行った。
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