光学式真空計は真空中に電気を導入するための電極が必要ないのできわめて簡便であり、微小空間の圧力計測や、真空封止した装置の簡単な圧力検査に有用である。一方レ-ザを用いた光熱効果によれば物体に非接触で振動が与えることができる。本研究はこの光熱効果を光学式真空計に適用するものである。 該当年度内に以下のような研究を行い、新たな知見を得た。 1.光熱振動の共振周波数は周りの気体の密度により変化するので、低真空領域(1〜760Torr)において共振周波数により光学式に真空度を計測できることが明らかになった。周波数による測定は精度を高く雑音に強い等の利点があるので真空検査の簡便な方法として有用である。 2.気体の熱伝導は中真空領域(1〜10^<-3>Torr)において圧力の変化により大きく変化する。レ-ザによって与えられた熱はこの領域では十分に故熱されずに振動子の温度上昇をもたらし共振周波数も温度にしたがって変化するので、これによりこの領域で真空度を計測することができることが明らかになった。特の材料としては熱膨張率の高いものほど共振周波数の変化が大きく、支持形態も片持ち梁構造よりも周辺支持の方が有効であることがわかった。 3.上記の方法は気体の種類が違うと感度が異なる欠点があり、組成のわからない気体では正確な圧力計測をすることができない。圧力の判明している部屋(たとえば高真空)と測定室とのしきりに隔膜を置き、これを光熱効果により振動させれば圧力差により共振周波数が変化するので、気体の種類によらず圧力計測ができる。本方式によれば10^<-3>10Torrの範囲で十分計測が可能であることが明らかになった。
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