研究概要 |
以下本年度(平成2年度)交付申請書に記した「研究実施計画」に沿って,本開発研究で得られた主な成果を箇条書にする。<1.システムの改良化研究>___ー:前年度に於て試作開発したシステムのカフ圧制御部(電空変換器)を次のように改良した。即ち、高速ピエゾバルブを用いたリ-ク方式から、圧電バイモルフを用いたノズルーフラッパ方式に変更し、なおかつ圧力トランスデュ-サと共に超小型化し、電空変換器内蔵型カフの開発に成功した。これによりカフ圧制御系の周波数特性が向上すると共に、胸部ユニットの携行が不要となり、被測定者の負担がより軽減された。<2.システムの臨床試用>___ー:ICU入院患者を対象として、直接法(観血的血圧測定法)との同時測定により本システムの性能試験を行ったところ、究めて良好な精度で血圧曲線が得られ、本研究で開発した超小型電空変換器内蔵型カフが、瞬時の血圧変動にも十分追従可能な圧力制御性能を有していることが確認された。また、軽度老人性痴呆症患者を対象としたリハビリテ-ション中の血圧及び瞬時脈拍数モニタへの適用を試み、当該疾患に対する作業療法指針に関する基礎的知見が得られると共に、70ー90歳程度の高齢者に対しても本システムが十分適用可能であることが明かとなった。<3.システムのフィ-ルド試用>___ー:日常生活や自動車運転中の長時間モニタ、及び自転車エルゴメ-タによる運動負荷試験など幅広い使用を試み、本年度購入したデ-タ処理分析装置によりデ-タ分析を行った。その結果、運動能力の差に起因する血圧応答の違いなど臨床的に興味ある様々な知見が得られると共に、外光や機械的振動、体位変換など様々な外乱に対しても、本システムにより安定して各デ-タが収録可能であることが確認された.また、頭部動脈を測定対象としているため、被測定者の行動を拘束しない上、対象血管を局所的に圧迫するため鬱血などの心配もなく、長時間無拘束連続血圧計測システムとしての有用性・実用性が確認された。
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