本研究はレ-ザによる測距技術のうち変調波位相検出法に属し、近距離測距のニ-ズに応えるものである。投射波と反射波の変調信号の位相差から距離を算出する構成では、精度が悪く実用性に乏しい。この難点を解決するために、本研究では安定な発振器に外部帰還系を付加する発振周波数変調型と称する構成を利用している。新しい発想に基づくこの構成では外部帰還系を設けて光路を含め、位相遅れが加わることによる発振周波数のシフトにより距離を測定する。すでに原理的実験により動作を確認していたので、基本部分を追試し、実用化の立場から設計し改良することが本年度の目標である。 1.実用化装置の設計: 測定の精度を改善する一つの方法として、発振器の発振周波数を切り替える構成を検討した。 2.発振器の安定度と測距精度の検討: 発振器の安定性が精度に直接影響するので、温度や電圧など発振回路周辺の改良により読みとり精度の向上を計った。回路動作の数値解析により、外部帰還系に反転増幅器を用いることで安定を保ったまま測定範囲を拡大できることを発見した。これらの結果、距離分解能にして5桁の精度が得られ、基礎実験のときよりも精度を一桁上げた。 3.プロトタイプの作成と装置の基本設計: 実用を考えた光学系、回路系、制御系を検討してシステムを作成し、マイクロプロセッサにより測定を自動化する構成を検討した。これにより実用化上必要なほぼ全ての事項を取り入れた基本設計が完成した。
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