研究概要 |
本研究計画の最終年度である平成2年度には次のような成果を得た。 1.昨年度末より改良・拡張が加えられた,立体骨組構造としての海洋構造物の構造信頼性評価システムの実構造モデルへの適用性を調べた。検討対象構造物は2ロワ-ハル・6コラム型セミサブ(海洋工学委員会構造部会(略称OS)モデル)である。また,完全構造の場合と部材の一部を取去った損傷構造の場合の信頼性レベルの比較も行った。 荷重条件としては,横波スプリット力のみを扱い,100年最大波中での運動解析より得られた荷重デ-タを平均値として,確率的崩壊解析を行った。計算の結果,システム全体としては静水荷重の寄与が波浪荷重よりも大きく,カラム・ロワ-ハルの破損が卓越すること等が分かった。また,特定のブレ-ス材を取去った計算を行い部材重要度の評価を行った結果,スプリット力の下では横水平ブレ-スの重要度が極めて高いこと等が確かめられた。さらに,本システムの実構造への適用における,構造のモデル化・荷重条件の設定法等の問題点についても考察した。 2.昨年に開発した、動的影響を考慮した構造信頼性評価システムに時刻歴解析法を付け加えることにより,より一般的な強度評価システムへと拡張を試みた。また,梁柱モデルによる全体構造解析と立体骨組モデルによる詳細解析を組合せて,構造物継手部の動的強度解析が可能なシステムの基本部分の開発を行った。 今後は,本システムを用いて継手部の局部塑性化,座屈および剪断破壊強度さらには疲労強度に対する信頼性評価が行えるものに発展させて行く予定である。
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