研究課題/領域番号 |
01850100
|
研究種目 |
試験研究
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
倉西 茂 東北大学, 工学部, 教授 (70005221)
|
研究分担者 |
中沢 正利 東北大学, 工学部, 助手 (20198063)
岩熊 哲夫 東北大学, 工学部, 助教授 (60120812)
|
キーワード | 折れ板構造 / 座屈強度 / 後座屈 / 終局強度解析 |
研究概要 |
折れ板構造は、単に板を曲げるだけでより高い曲げ剛性が得られることが既に解っている。座屈解析では水平補剛材を一段設けた場合と比較するため、ウェブの折れ位置を圧縮フランジから桁高の1/5に固定している。この折れ板構造ウェブが曲げを受ける場合、ウェブの折れ角は15度の場合が最も有効であり、曲げ座屈強度は水平補剛材を用いた場合と同程度の強度が期待できる。しかし、ウェブ折れ角度のせん断座屈強度に対する寄与は小さく、ほぼ平板と等しい強度となる。 一方、アクリル材模型を用いた折れ板構造ウェブの実験的研究によれば、やはり最大せん断座屈強度は折れ角10度付近で得られ、また、座屈荷重の4倍程度までは座屈後の荷重と変形関係はほぼ線形を保ち、座屈後耐力が急に衰える事の無いことが確認された。 よってさらにこの浅い折れ角の構造が実用化し得るか否かは、この様な浅い折れ角でも後座屈領域まで高い強度を保持しうるかにかかっている。そこで初年度においては、浅い折れ角構造の鋼板の終局強度およびその特性を、降状の影響を考慮した終局強度解析によって明らかにし基本的知識を得ることを目的とした。この結果、曲げを受ける折れ板構造ウェブの弾塑性解析では、折れ角度を大きくする程ウェブの面外変位を拘束する効果が大きく、よって圧縮領域での曲げによる直応力の応力欠損が起こりにくく、故に曲げ応力分布は直線分布に近いものとなる。また、曲げ座屈後のモ-メント-曲率関係はほぼ線形で、折れ角が10度以上ではウェブの弾性曲げ座屈は生ぜず、主に降状が強度を支配している。この結果、終局曲げ強度は折れ角が大きいほど高くなる。 今後は、より広範な終局強度解析を行ない、折れ板構造を桁構造および柱構造に適用した場合の設計法を検討してゆく予定である。
|