研究概要 |
極低温下で鉄筋コンクリ-ト中のコンクリ-トに引張ひびわれが発生する時,鉄筋に衝撃的な引張力が発生する。今までは-150℃までの温度についてその衝撃力を測定していたが、今年度は-196℃までの温度についての実験を行った。その結果、鉄筋に発生する衝撃(歪速度)は-100℃の時にピ-クになり、それより温度が低くなるとばらつきが大きくなるものの平均値は大きくならないという結果を得た。そして、この傾向はコンクリ-トの引張強度とほぼ同じとなるので、この原因はコンクリ-トの引張強度同様,内部応力の影響によるものと思われる。 一方、大きな歪速度を受けた鉄筋の破壊の実験については、本年度はシャルピ-試験機をさらに改造して種々の歪速度を出すことのできる試験機を作り、それを用いて一種類の鉄筋で実験を行った。その際、鉄筋の曲げ内半径を種々に変え、鉄筋の曲げ加工部における耐衝撃性を調べた。ただし、鉄筋の曲げ加工を自由に変えた供試体を作る事は大変むずかしく、今回は4φより小さい曲げ内半径に加工することはできなかった。このような方法で、変数としては1)温度,2)曲げ内半径,3)歪速度の3つを選んでその影響を調べた。実験の結果、各温度,各歪速度におけるぜい性破断発生の限界曲げ内半径を求めることができた。すなわち,構造物を設計する場合、各部材の温度とそこに発生する歪速度がわかれば、その部分の鉄筋の曲げ内半径の最小値を求めることができるようになった。
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