研究概要 |
本研究は、軟弱粘土の自重圧密挙動を簡便に観察でき、挙動を支配する圧密諸定数を短時間に求められる回転円筒型自重圧密試験装置を試作し、実用化を計る目的で行ったものである。研究の概要は以下の7点にまとめられる。 (1)回転円筒型自重圧密試験装置を試作した。装置の概要・性能は以下の通りである。回転体は、材質がステンレス製で、半径10cm、厚さ7cmである。モ-タ-は0.4kwで、回転数は最大3,000rpm、最大遠心加速度700Gで、最大プロトタイプ層厚は40mである。計測は、ストロボスコ-プを圧密中の遠心装置の回転数に同期させて、粘土層表面の沈下を容器上面に貼り付けたスケ-ルを肉眼で観察する方法で行った。 (2)4種類の粘性土(湯の湖粘土(Ip=57.8),神戸粘土(42.7),川崎粘土(29.4),カオンリン粘土(22.0))について合計35回の自重圧密実験を実施し、再現性が良好であることを確認した。 (3)プロトタイプ層厚を10mとして、遠心加速度と層厚を3種類に変化させて実験を行い、モデリングオブモデルズの成立を確認した。 (4)容器内のスリット本数を3、6、9として実験を行い、圧密沈下一時間関係を比較した。その結果、本装置でモデル層厚4.0〜6.0cmの範囲内では軸対称圧密による周方向ひずみの影響が小さいことが分かった。 (5)試料の初期含水比とプロトタイプ層厚を等しくしてビ-ム型との実験結果を比較をしたところ、時間一圧密度関係に差異が認められた。 (6)軸対称平面ひずみ条件下の自重圧密方程式を導き弾性解析を行って、実験結果との比較を行った。ただしこの解析は、圧密層全体の平均的なmν、cνを求める段階に止まっている。 (7)上下2層(下層:神戸粘土,上層:カオリン粘土)の圧密沈下を同時に測定し、2層地盤の圧密現象をシミュレ-ションする可能性を検討した。
|