研究概要 |
本研究は,流れている密度変化をもつ液体中にレ-ザ-光を照射するとき,その光路が流体の密度変化に応じて屈析するという普通は好ましくない性質を逆に利用して,流れの密度場を非接触で空間的に推定しようとするものである。 平成2年度は,前年度で確認した静止密度場(一次元,鉛直方向のみの密度変化)の場合への本方法を更に進めて,(a)二層密度流中の内部波の波形の推定,(b)二次元的な連続成層場,すなわち孤立峰周りの密度場の逆推定のための密度計測法の研究を行った。 そのため,密度場を様々な任意関数形(高次ベキ級数,2次元フ-リエ級数,密度流場の直交関数)で表現し,その関数形に含まれるいくつかの任意係数の値を仮定し,密度と屈析率の関数を用いてレ-ザ-の光路微分方程式を解き,レ-ザ-光の射出位置の計算値と実測値の誤差の二乗和を最小にするまで,密度場関数中の係数の正しい値をMarquardt法による繰り返し計算により逆推定した。当然のことながら,密度場が複雑になるにつれて,同定すべきパラメ-タ数が増加し,また収束までの繰り返し計算数は増加したが,孤立峰周りの密度流場のような複雑な短度場も,かなり正確に逆推定しうることを確認した。 一方,レ-ザ-光の射出点の検出には,当初予定していたCCDカメラに替えてPSD(Position Sensing Device)を使用することにより,検出点位置の読み取り精度を増すと共に,検出タイムを大幅に向上させることを可能にした。また,高速回転ミラ-と多段配置の青射ミラ-(方向変向ミラ-)により,レ-ザ-光の射出方向,したがって逆推定のための情報量を増やすことができた。
|