研究概要 |
篦は流体から発生する散乱光・蛍光の光子計数法を応用した乱流計測手法を開発した.入力信号としてアルゴンレ-ザ-を用い,光子計数から得られるコヒ-レンス時間より流速・温度等流体諸元の時間平均値を求める.本計測手法は境界層流および管路乱流の流速・温度計測に対し応用され,その精度・有効性を確認した.江藤は画像計測のトレ-サ-粒子としてポリスチレン薄膜で水を密封したマイクロカプセルを開発し実用化した.このトレ-サ-は粒径が小さく(径0.2mmのオ-ダ-),温度変動をともなう熱密度流場においても中立粒子として挙動し,追随性も優れいてる.さらに,3台の超高速ビデオカメラを用いた3次元流速計測と画像解析システムを開発した.以上の研究開発により,密度差をともなうような乱流場における3次元流速計測が可能となった.中辻は,明石川の大阪湾への流出に関する流速・塩分濃度・浮遊土砂量の現地観測を行った.この実証研究によって潮流・沿岸流が河川プル-ムの密度流挙動におよぼす影響と潮目の形成機構を明らかにした.さらに,淀川の大阪湾への洪水流出のランドサット映像を分析し,実水域における乱流密度流の観測手法について考察した.道奥は停滞水域の物質輸送を支配する熱対流場で発生する乱流を対象として流速計測と完結モデルによる数値解析を行い,乱流構造を明かにした.複合因擾乱が作用する乱流場での流速計測を試み,乱流強度や乱流の非等方性度などを明らかにした.さらに,乱流モデルによる熱塩対流場の乱流構造解析を行い,実験で得られた情報を補足する形で熱対流場における乱流特性を解明した.室田は河川プル-ムおよび成層せん断密度流を対象として,乱流モデルによる数値予測手法の開発を行った.数値解析は三次元密度流として挙動する淀川流出流にも適用され,その有効性が確認された.
|