研究課題
試験研究
寒冷時期の施工では低温による塗膜の造膜不良、凍結による変性など未解明の多くの問題があり、平成元年度は、これらの問題についての実験室実験を行った。実験では、代表的な薄付仕上塗材、複層仕上塗材の主材と仕上材(トップコ-ト)8種を選び、それぞれの材料の凍結温度を調べるとともに、凍結による性質の変化を検討した。この結果、約半数の仕上塗材は、凍結することによりゲル化が生じて使用不能となること、またゲル化が生じなかった仕上塗材においても、凍結後の材料で粘度の上昇や気泡の発生が見られるなど、保管時や施工直後の凍結は仕上塗材の性能に著しい悪影響を与えることが判明した。また、凍結に至らない低温条件の影響に関する実験では、硬化時の温度・湿度により仕上塗材の造膜性がかなり異なることも明らかとなっている。同時に、仕上塗材の粘性が温度低下にともない増大する結果が得られており、低温下の施工では、作業性を良くするために水の添加が増す可能性がある。この影響も考慮する必要がある。実際の施工現場の状況については予備的なアンケ-ト調査を行っている。まだ集計されるに至っていないが、厳寒期の施工において、作業空間を覆い、内部を加熱する手法がある程度普及していることがうかがわれた。