研究課題/領域番号 |
01850132
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岸田 英明 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (30016513)
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研究分担者 |
椿原 康則 東京工業大学, 大学院総合理工学研究所, 助手 (10217367)
加倉井 正昭 株式会社竹中工務店, 技術研究所, 主任研究員
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キーワード | 摩擦 / 粘性土 / 鋼 / 試験方法 / 単純せん断試験 / 表面粗さ |
研究概要 |
本研究の目的は、粘性土地盤と建築物基礎(構造材料)との間の摩擦抵抗を求めるための、実用的な摩擦要素試験の手法を開発することである。 平成元年度は、試験機作製とその性能評価を重点的に行った。本年度は、系統的な摩擦要素試験を行い、更に実大杭の載荷試験における杭の周面摩擦力度を推定するために、実地盤の粘性土試料による摩擦試験も行った。 <1.粘性土一構造材料間の摩擦試験>___ー 粘性土には川崎粘土に豊浦標準砂を混入したものを、構造材料には鋼材を使用している。パラメ-タ-は、土試料中の砂の混合比率(5種類)および鋼材の表面粗さ(5種類)の2つである。なお、境界面で絶対に滑らない試験として、土試料のせん断試験も行った。圧密排水条件で単調載荷した。 試験結果:(1)最大摩擦強度には各パラメ-タ-による有為な差異はないが、残留摩擦強度には砂分が少ない土試料でかつ境界面で滑る場合、残留強度に大きな低下が見られる。(2)境界面で滑らなくなる限界の粗さは、砂分が多い土試料ほど大きい。(3)純粘土では、最大摩擦強度以降は境界面における滑り量のみが増加するが、砂分を含むその他の土試料では、滑り量と土試料のせん断変形量とが同時に増加する複雑な変形挙動を示す。 <2.実地盤の粘性土試料による摩擦試験>___ー 2箇所の実大杭の載荷試験における杭の周面摩擦力度の値と、杭周辺地盤から採取した乱さない粘性土試料を使用した摩擦試験より得られた値とを比較検討した。試験は圧密定圧条件の単調載荷で行い、載荷速度は実大杭の平均載荷速度とした。なお、圧密圧力は、土試料を採取した深さにおける有効上載圧に静止土圧係数(=0.5と仮定)を乗じた値とした。 試験結果:杭の表面粗さが不明であるので、杭表面が充分滑な場合と充分粗な場合とを考慮して試験を行ったが、実大杭の周面摩擦力度に近い値が得られ、本試験方法の実用への可能性が見い出された。
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