研究課題/領域番号 |
01850133
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南井 良一郎 京都大学, 防災研究所, 教授 (10027211)
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研究分担者 |
鎌田 輝男 福山大学, 工学部, 助教授 (30026091)
鈴木 有 金沢工業大学, 工学部, 教授 (90027235)
鈴木 祥之 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50027281)
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キーワード | 確率システム / 設計用地震動 / 地震観測 / 非線形地盤 / 応答制御 / 震災発生危験度 |
研究概要 |
建築構造物の動的耐震設計法における設計用地震動の合理的な作成法を得るためには、広域的、局地的地盤構造の動特性を適切に表す非線形動力学モデルを作成し、不規則、不確定入力に対する確率過程論的構造を解明する必要があり、以下の研究を行った。1)中国地方は地震活動度の低い地域であるが、福山大学において観測した10数例の観測記録から、震源位置と深さの特徴および初動の揺れの大きさが、主要動のそれと大差ないこと、上下動と水平動の震幅レベルは同等であることなど通常の地震とはやや異なる性質を持つと言う結果を得た。さらに、1885年以降の地震資料から、異なる地域毎の地震活動度の評価式を導いた。2)構造物の内部や周辺地盤で計測された、地震応答としての観測記録に含まれる地盤と構造物の動的相互作用等の影響を、周辺地盤媒質の局所的非線形製を考慮しつつ除去して、自由表面での入力地震動を推定する逆応答計算法を、時間と周波数の領域をFFTを介して使い分ける手法により改良し、地盤と構造物の同時測記録を用いて、その有用性を検証した。併せて、こうして得られた設計用地震動の知見を、居住空間・街路空間・地域空間等の震災発生危険度の予測に適用した事例を示した。3)地震時における実在構造物各部の応答や損傷および耐震信頼性の程度を知ることは、構造物の耐震安全性を確保する上で重要であるとの観点から、履歴構造物の部分的な地震応答観測記録を用いて応答を推定する方法として、連続マルコフ過程論に立脚した入力、履歴系および出力の総合系としての確率微分方程式による定式化と非正規確率等価線形化法に基づく応答推定手法を示した。さらに、履歴特性を有する非線形構造物を制御対象として、位置が限定され、雑音で乱された観測値から構造物の応答状態を推出しながら、地震入力と適正規範とを満たす制御を行う確率論的構造制御法を導びき、数値例により検証した。
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