研究概要 |
1.研究目標 本研究は、鉱工業排水処理等において使用されている鉄酸化細菌を主体とした微生物,すなわち酸化槽内の含菌液に類似の組成をもつ集積培養菌による酸化試験である。本試験研究は、酸化槽が連続操業に入る直前の、回分酸化試験に関するものである。 2.研究結果 平成元年度においては、回分酸化の運転のさいの工学的指針として、酵素への制御作用を仮定することにより、反応速度式を提案した。本年度はこの速度式と酸化実験および同和鉱業における試験結果との対比検討を行った。 (a)Co,Cu,Mnの影響,耐性とパラメ-タ値の変化 菌の硫黄酸化能力に着目し、マンガンノジュ-ル,コバルトクラストのバクテリアリ-チングを試みた。このさい、反応速度を上昇させるため、鉄酸化細菌の硫黄酸化活性におよぼす、両鉱物中に含まれいるMn,Cu,Coの影響を検討した。すなわち、Mnに比較し、Cu,Coは菌の硫黄酸化活性を大きく減少させ、その濃度の増加とともに鉄酸化細菌の誘導期が長くなった。(パラメ-タ-α値の減少)しかし、Cu,Coのイオン濃度を段階的に高くし、植え付ぎ培養することにより、耐性をもつ菌が入手できた。(パラメ-タ-α値が増加した。) (b)FeSO_4酸化におけるpH変化とパラメ-タ値の検討および酸化温度によるパラメ-タ値の検討が行なわれた。 (c)菌の付着による回分酸化のさいの反応速度の変化について:低pH域の酸化においては、ケイソウ土の添加による菌の回収・再利用が知られている。このさい固体に付着した菌の計測が困難なので、平成元年度に提案した速度式により、推定計算を行った。(同和鉱業) 今後の方針として、半固定の状態であるが、二三の粒子について、粒子の形状と酸化速度との関係を併せて検討する予定である。
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