粉体の粒度分布を精度よく測定することは、粉体を取り扱う分野において、基本的に重要な問題である。近年、特に微粒子を扱う分野の発達が著しくなるにつれ、微粒子の粒度分布を精度よく測定する要求がたかまっている。当研究者等によって、これまでに精度と再現性の良い沈降天秤式粉体粒度分布測定装置の開発を行い、現在、沈降天秤(試作3号機)を開発し使用している。これらの装置は沈降天秤の秤量皿に沈積する懸濁粒子の重量を測定し、その時間的変化をペンレコ-ダに出力し、沈積曲線を描き、その曲線を作図解析法によって解析するものであり、装置としての精度と再現性と申し分ないが、この作図解析法による解析は解析者の個人差がでたり、解析に長時間を要する等の問題点がある。そこで今回は上記重量の時間的変化をアナログデ-タとしてペンレコ-ダで記録すると同時にデジタルデ-タとして、デジタルプリンタに打ち出し、その数値を用いて解析する数値解析法を開発し、粉体の粒度分布測定の自動化を計るための研究を開始した。 今年度は、沈降天秤(試作3号機)の秤量皿に枕積する懸濁粒子の重量の時間的変化をペンレコ-ダに出力し、アナログデ-タとして沈積曲線を描かせると同時にデジタルデ-タとして、デジタルプリンタ-に出力し、さらにフロッピ-ディスクにデ-タを保存することができるようになった。またデジタルデ-タをプロッタ-に沈積曲線として描かせ、アナログデ-タに記録されている沈積曲線と対比させて正確にデ-タが入力されていることを確認した。つぎに石英粉末試料を用いて、繰り返し実験を行い、アナログデ-タとしての枕積曲線を従来の作図解析法で解析し、粒度分布測定結果の再現性があることを確認したので、フロッピ-ディスクに記憶されているデジタルデ-タをデジタルプリンタ-に出力させ数値解析をおこなうための準備が整った。
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