研究概要 |
粉体の粒度分布を精度よく測定することは、粉体を取り扱う分野において、基本的に重要な問題である。近年、特に微粒子を扱う分野の発達が著しくなるにつれ、微粒子の粒度分布を精度よく測定する要求がたかまっている。申請者等は精度と再現性の良い装置として、沈降天秤式粉体粒度分布測定装置(試作3号機)を開発した。この装置は、装置としての精度と再現性は申し分ないが、沈積曲線を解析する際に、通常行われている作図解析法で解析すると、解析者の個人差がでたり、解析に長時間を要する等の問題点がある。そこで、今回は重量の時間的変化をデジタルで出力し、その数値を用いて解析する数値解析法を開発し、粉体の粒度分布測定の自動化を計る研究を行った。本年度は石英粉末試料(-22μm)を用いて、同一条件で繰り返し10回粒度分布測定を行って、得られたデジタルデ-タを用いて、つぎのような数値解析法を開発した。 (1),沈積曲線の直線区間をW=A+BTに直線回帰させ、この式のAの値を測定のスタ-トの原点位置とした。 (2),直線回帰した直線と実際の沈積曲線をXYプロッタに描かせ、両者の差が表れる点を最大粒子径とした。 (3),各粒子径に対応する解析点近傍の曲線を回帰させるための関数形はy=a(1-e^<-bx>)を適用し、デ-タの数は解析点を中心に前後21個とし、サンプリング間隔は最初の10分間は3秒毎、90分までは30秒毎、24時間までは300秒毎に決定した。 (4),作図解析法と数値解析法で得られた粒度分布線図は、よく一致したことから、数値解析法は作図解析法に代わりうる方法であることが確認された。 (5),粒度分布線図をXYプロッタに描かせるプログラムも開発した。
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