研究課題
試験研究
宇宙ロケット用の長寿命燃焼器ノズルの粉末成形のための諸条件の検討を行い、従来のロケットノズルの10倍の寿命を有する耐圧冷却溝構造ノズルの実現に目途をつけた。AlーCu系合金およびCuーAg系合金を用いた焼結外殼における組織制御と機械的性質、内筒材との焼結接合条件、実機を模擬したスロ-トモデルによる外殼の形成条件などを調べた。とくに注意を払った事項は、ロケット燃焼ノズルの寿命を決定する外殼の剛性、内筒との密着接合性および接合強度、および実機形状に即した賦形性である。外殼の剛性は気孔率に一義的に依存する。十分な強度を有しかつ長寿命を保障する低剛性は気孔率の制御により実現することができた。焼結外殼と内筒材との接合性については、一般に内筒材へのSnあるいはAgメッキ処理、焼結時における液相生成量の制御、軽度の圧力付加により、接合強度および密着性の両面で、良好な接合面が得られることがわかった。実機を模擬したスロ-トモデルを用いて、外殼と内筒との密着性を詳しく検討した。その結果、スロ-ト部(最も細くくびれた部位)、テイパ-部およびストレ-ト部の端部に焼結収縮に関連した未接合が発生することがわかった。未接合部は、適切な加圧焼結条件および液相形成条件によりその発生を抑制することができた。健全な外殼が形成される焼結条件では低剛性をもたらす気孔率もほぼ適正な範囲にあり、長寿命ロケット燃焼器実現への見通しがついた。本成果を踏まえて、再び小型ロケットノズルを試作し耐圧テストおよび燃焼試験を実施する計画を進めている。
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