当研究室に既設の手動制御による複合押出し試験装置を、平成元年度(昨年)科研費補助金によってパソコンによる制御方法に全面改造した。その結果、圧力一定制御は容易であるが、速度制御は変位測定に用いたロ-タリ-エンコ-ダ-をアブソリュ-ト型からインクリメンタル型に変えないと分解能が悪く制御不能であることが判明し、本年度これを改良した。その為、初期に予定していなかったカウンタ-を備品として購入せざるを得なかった。 以下改良した本試験装置の概要と応用例を示す。 (1)上下のラムは独立して駆動可能であり、20ton以下の範囲で成形圧力または成形圧力を制御することは可能になった。 (2)従来の手動方式に比較して安定して成形できるため作製した成形品の強度特性等の評価が可能になった。 (3)容量の増加により流動性の悪い非超塑性合金、例えばアルミニウムにウイスカ-を複合化させた複合材料でも成形可能となった。特にSiCウイスカ-強化アルミニウムの成形品では、マトリックス単体よりも20%以上強化された複合材料が得られた。 (4)軽量化を目的としてセラミックスの中空微小中空球状粉を超塑性Alー78Zn合金に複合した結果、耐在強度が極めて低い中空球状粉でも約30%程度未破損の状態で複雑形状に成形できた。その製品は強度は多少低下するが吸振特性が優れており、軽量化と同時に多機能の付与が可能である。 以上、本装置は実用化の見通しが達成されたが、今後その成形品の機能、例えば強度性性、音響特性、熱または電気伝導率などの特性評価を行うべく、各種複合材料の設計を試みている。
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